やあみんな、文章、書いてるかい。
文を書くことを趣味や仕事にしている人であれば――いや、そうでなくても、レポートやSNSなどで文を書く機会がある人であれば誰でも、ことばに関するちょっとした疑問や困りごとにたびたび直面しているはずです。ところが、手持ちの国語辞書では解決できず、Google先生にお伺いを立てても出てくるのはYahoo! 知恵袋や信頼性に欠ける安っぽい記事ばかり、ということがよくあります。
ああ、かゆいところに手が届く、いい資料がないものだろうか……。
ありますよ!!!!!
脇目も振らず辞書を集めまくっている私が、実際に使い倒して「こいつは便利だ」と感じた、かゆいところに手が届く特殊な辞書たちをご紹介いたします。必ずや、文を書くみなさまのお役に立つでしょう。
「どういう感じ」にまで踏み込んだ 『日本語 語感の辞典』
著者:中村明
初版:2010年
版元:岩波書店
収録項目数:10000
ことばには「意味」とともに「語感」が備わっています。二者の境界は曖昧ではありますが、ふつう国語辞書の語釈では「意味」の領域に属するもののみが説明されます。「語感」は、文字通り「ことばが与える感じ」ということであって、絶対的なものではなく、国語辞書では説明しづらいためです。
『日本語 語感の辞典』は、果敢にもこの「語感」を記述することに挑んでいます。「語感」を説明するにあたっては、語種の情報、用いられる文体の情報、専門語か一般語かの情報、丁寧さの情報などを並べ立て、「その語をどのような場合にどういう感じで使うとしっくり来るかがわかる」ようになっています。語によっては、似た意味のことばとの比較や、文学作品などからの引用といった、「語感」を理解するのに有用な情報を補っています。
ためしに、ひとつ項目を引いてみましょう。
しとやか【淑やか】言動が落ち着いていて気品を感じさせる意で、よほどくだけた会話以外、幅広く使える和風の日常語。〈―な物腰〉〈―なしぐさ〉〈―な立ち居振る舞い〉
意味と、用いられやすい場面を述べたあと、典型的な例文を挙げています。続く補説が見ものです。一部を抜粋します(‥‥は省略を表す。以下同じ)。
‥‥この語を受ける名詞が人間の場合「女性」「令嬢」「婦人」「奥様」のような女の人の例ばかりで、「―なお坊ちゃま」といった男の例はほとんど見られない。「―な」の次に「長男坊」とか「陸軍軍曹」とかが続くと滑稽な感じになるのは‥‥この語のそのような女性的な語感と反発するからである。一方、年齢的にもある程度の制限を感じさせる。「―な老婦人」にはまったく違和感がないが、「―な女の子」という表現には少し抵抗を感じる。‥‥この語には性別と年齢との両方の語感が働いていると感じられる。
じつに行き届いた説明です。比較のため、一般的な国語辞書から『旺文社国語辞典』に代表いただいて、「しとやか」の語釈を見てみます(記号などは略)。
しとやか【淑やか】(形動ダ)話し方や動作が上品で落ち着いているさま。「―な物腰」
――『旺文社国語辞典』第11版
性別や年齢に関する情報は一切ありません。
繰り返しになりますが、「語感」は絶対的なものではなく、「しとやか」を男性や若い女性に使ったからといって間違いだということはありません。しかし、使われやすい場面に傾向があるのも事実です。『日本語 語感の辞典』は「語感」にまで踏み込み、ことばの与えるイメージを詳細に描き出しています。
「言いたいことばが出てこない」を解決 『早引き類語連想辞典』
著者:野元菊雄(監修)、米谷春彦(編集)
初版:1994年(『早引き連想語辞典』)
最新版:2008年(第2版)
版元:ぎょうせい
文を書いていると、「もっとしっくり来ることばがあるはずなんだけど、ぱっと思い出せない」ということがあります。似た意味のことばについて調べたいときは類語辞典の出番ですが、中でもこのように「知っていることばを思い出したい」という要請にぴったりなのが、『早引き類語連想辞典』です。
この辞書には、意味にあたるものが一切書かれておらず、ひたすら類語だけが羅列されています。どのように使うのでしょうか。
たとえば、「勇気を奮い立たせるみたいな意味の漢字2文字のことばがあったけど、あれ何だっけな」ともどかしい思いを抱えているとします。この場合、ためしに「奮い立つ」で引いてみます。
ふるいたつ【奮い立つ】 勇み立つ。興る。緊褌一番。決起。発奮。奮起。●勢い激しく~=奮迅。●感じて~=感奮。
「この中にはないけど、『奮起』が近いな」と思ったら、こんどは「奮起」で引いてみます。
ふんき【奮起】 気力を奮い起こす。気負い。緊褌一番。決起。発奮。奮励。意気込む。気張る。奮い立つ。●失敗にめげず~する=七転び八起き。
「そうだ、『奮励』だ!」と、ことばを順々にたどっていくことで、目的のことばにすばやく到達できる仕組みになっているのです。書名に「早引き」が冠されているゆえんです。通常の国語辞書や類語辞典と組み合わせれば、未知のことばの発掘にも役立てることができます。
記号に特化した唯一の辞典 『句読点、記号・符号活用辞典。』
文章中で用いられる記号類の用い方を実例に即して説明した、おそらく唯一の辞典です。200の記号、符号、しるしを13の章に分類し、詳しく解説を施しています。
「実例に即して」というのがミソで、いわゆる規範的な用法から、新しい用いられ方まで広く記述しているのが面白いところです。たとえば、「。」の用法では、
[1]文の終わりに打って、そこで文が終止したことを示す符号。
(用例)桜が咲いた。
という一般的なものに始まり、
[6]芸名・グループ名・雑誌名・書名などの要素として文字列に付けて使われる。「モーニング娘。」(グループ名)、「ほっしゃん。」(芸名)、「プロ論。」(書名)など。
[7]電子メールや電子掲示板で、含みや余韻をもたせる意味で文末などに。。。 と続けて打つ。……の代用。
(用例)う~む、競馬はムズカスイ。。。。
のような規範から外れたものにも言及しています。「→」の説明には、「ギャル文字で、長音符号(ー)の代わりに使われる」というようなものまであります。
付随的な解説も充実しています。たとえば「々」の項では、
*「馬鹿々々しい」「謹聴々々」のように、2字以上の漢字をくりかえすときに使われることもある。明治初期までは、「一軒々」と書いて「一軒一軒」と読ませるなど、「々」1つで漢字2字をくりかえす使い方もされた。
のような用法に関わる注記があるほか、
5 印刷物・出版物でも「々」はしばしば行頭禁則とされるが、その場合、「人々」なら「人々」を2字まとめて次の行に送るか、句読点などの空きを詰めて「々」まで同じ行に収めるかして処理することが多い。また、原文の表記の改変を許容する編集方針の場合、行頭の「々」を漢字に書き換えるやり方を採用する場合もある。
というように組版上の処理についても詳述されています。
専門的な分野での使い方に触れられている項目(「×」の「生物学で、交配を示す」や、「#」の「チェスの棋譜で、チェックメイト(詰み)を表す」など)もあり、まさに「かゆいところに手が届く」という形容にふさわしい辞典です。
「形態索引」では、記号をその形から引くことができ、呼び名がわからない記号でも容易に引くことができます。
自然な敬語を使いこなす 『敬語のお辞典』
著者:坂本達・西方草志(編著)
初版:2009年
版元:三省堂
収録項目数:会話例5000
メールなどで敬語を書く必要に迫られたとき、その言い方が適切かどうか判断するのは、なかなか大変です。その点、この『敬語のお辞典』は、5000もの短い文例を「謝る・許す」「学校」「結婚」「恥ずかしい」など約300の場面別に分類・列挙しており、その場面における自然な敬語を知ることができます。
何かを断らないといけないが、ふさわしい敬語に思い至らないという場合なら、「断る」の章を見てみます。15の例文が挙がっていますが、一部を抜粋します。
致しかねる | 保証期間後の交換は、致しかねます。 |
お帰りください | どうぞお帰りください。マンションの建設には絶対反対です。 |
お断りになる | 行きたくないんだったら、お断りになればいいじゃないの。 |
ご辞退する[自] | その件については、はっきりご辞退申しあげます。 |
固辞なさる | 先生は、特別扱いを固辞なさいました。 |
ビジネスに限らないさまざまなシチュエーションを想定した、生き生きとした文例が目を引きます。また、自分が断る場合だけでなく、他の人が断る際の敬語表現も一緒に掲げられています。この中から、自分の言いたいことに近い文を選び、改変を加えればよいわけです。ちなみに、「ご辞退する」にある[自]の記号は、「自分の行為に『御』(お・ご)をつけて、相手に対する敬意を表す語」を意味しています。「何々させていただきます」の代わりに使って、すっきり表現できます。
索引は、敬語と、普通の語(敬語の元の形)の両方から引けるので、とても便利です。普通の語には、以下のように敬語の形も併記されています。
︰
しょうゆ→お下地
しょうゆ→お紫
しょうゆ→お醤油
︰
この辞典には、敬語に関する本にありがちな「こういう言い方は間違いです」という脅し(?)が一切ありません。「あれもダメ、これもダメで、敬語は難しい」というような、敬語に対する抵抗感を、ほとんど感じずに使うことができるのも魅力です。
「これは間違い」とはっきり示してほしいという向きには、『迷った時にすぐ引ける 勘違い敬語の辞典』(西谷裕子著、東京堂出版)があります。解説が行き届いていますし、適切な例も複数掲げられていて、実用的です。
国語辞書にない俗語が満載 『日本俗語大辞典』
編者の四半世紀にわたる俗語収集の集大成的な辞書で、普通の国語辞書に載りにくい「俗語」を、12000あまりの実例とともに収録しています。国語辞書が必ずしも俗語を排除しているわけではないのですが、俗語はその性質上、使われる範囲が限定的だったり、一時的な流行に終わったりすることが多く、普通の辞書には載らずに終わるものが多いのです。
『日本俗語大辞典』は、そんな俗語に光を当て、網羅的に立項したほぼ唯一の辞書です。国語辞書に見当たらない俗語があれば、本書の出番。実例も豊富で、その語が用いられた時代や文脈をうかがい知ることができます。ユーモラスなことばが多く、ただ読むだけで楽しめるのも魅力です。
ネット上には、「俗語辞書」を銘打ったウェブサイトもありますが、誤りも散見され信頼性に欠けるうえ、明らかに本書を引き写した記述も見られます。そんなものを使うなら、はなから『日本俗語大辞典』にあたったほうが確実です。もっとも、刊行からすでに15年以上たっており、当然ながら最近のことばは載っていないことには留意が必要です。
ほか、俗語に関する辞書では、業界用語に代表される「集団語」に特化した同じ編者の『集団語辞典』(東京堂出版)、明治時代から現代までの隠語辞書などを集成した『新修隠語大辞典』(皓星社)、口頭語を扱った『研究社日本語口語表現辞典』(山根智恵監修、研究社)などが良質です。刑事弁護人が依頼者と円滑にコミュニケーションをとることを目的に編まれた『刑事弁護人のための隠語・俗語・実務用語辞典』(下村忠利著、現代人文社)は、辞典としての体裁は整っていない面もありますが、リアルな犯罪用語の宝庫です。『辞典〈新しい日本語〉』(井上史雄・鑓水兼貴編著、東洋書林)は、「新方言」を中心に、新しい言語変化を記録しています。『省略言葉辞典』(金澤信幸著、ネコ・パブリッシング)はムック本ですが、立項の範囲が幅広く、作品名やタレント名の略称まで収録しています。
日本語母語話者にも役に立つ 『日本語文型辞典』
著者:グループ・ジャマシイ(編著)
初版:1998年
版元:くろしお出版
日本語の「文型」をまとめた辞典です。日本語教師と日本語学習者に向けて編まれたもので、日本語教育の用語(「ナ形容詞」「タ形」など)を多少知っていないとわかりづらい面もありますが、一般の日本語母語話者向けの文型辞典は皆無なので仕方ありません。
本書では、「文型」を「文や節の意味・機能・用法にかかわる形式」と捉え、分類して解説を施しています。意味に影響するものでありながら、単語を見出しとする従来の辞書では、「文型」そのものを引くことはできません。何のことやら、という人もいるでしょうから、「ても」の項から一部を抜粋してみます。
【ても】
︰
6 V-ても R-きれない
(1)彼の親切に対しては、いくら感謝してもしきれない。
(2)学生時代になぜもっと勉強しておかなかったのかと、悔やんでも悔やみきれない。
(3)ここで負けたら、死んでも死にきれない。
同一の動詞を使って、その意味を強める。たとえば(1)は深く感謝していることを、(2)は強く後悔していることを強調する。やや慣用的な表現で、使える動詞は限定されている。「死んでも死にきれない」は「あきらめられない」とか「後悔する」の強調表現として使う。
7 V-てもどうなるものでもない
(1)いまから抗議してもどうなるものでもない。
︰
8 V-たくても V-れない
(1)急に仕事が入って、飲みに行きたくても行けないのだ。
︰
日本語母語話者であっても、ふだん使わない文型になると、型通りになっているか自信がなくなることがあります。「おりから」や「べからざる」を使って、適切に文を作れるでしょうか。「せっかく…のだから」と「せっかく…のだったら」はどう違うのでしょうか。国語辞書では不足を感じることが多いはずです。
語と語の結びつきを確かめる 『てにをは辞典』
著者:小内一(編)
初版:2010年
版元:三省堂
収録項目数:見出し35000、結合語のべ600000
ことばとことばの慣用的なつながり方を「コロケーション」といいます。本書はそのコロケーションの例を集めた辞書です。文を書いているときに、「『照準を』……どうするんだっけ?」「『成功を博する』って言えるっけ?」と思ったら、『てにをは辞典』を引いてみましょう。
しょうじゅん【照準】▲が 定まる。▲を 当てる。合わせる。変える。定める。絞る。つける。
はくする【博する】▼巨利を。好成績を。好評を。高利を。勝利を。信任を。信用を。成功を。絶賛を。大勝を。人気を。名声を。笑いを。アイデアが喝采を。糊口の(喝采を・称賛を)。
見てわかるように、語と語の結合をひたすら列挙しているのです。普通の国語辞書では括弧付きの用例で示されるものにあたりますが、紙幅の都合で限定的です。「照準」の場合、ネット上でも無料で引ける『大辞林』『大辞泉』では「照準を定める」「照準を合わせる」しか見つけられません。
語と語の結びつきを確かめるほかに、似た性質のものを調べるのにも使えます。たとえば、「白い」の項目には、いろいろな白いものが並んでいます。
しろい【白い】息。兎。羽毛。紙。霧。雲。煙。ご飯。磁器。下着。霜。蒸気。障子。砂。雪渓。布。歯。花びら。光。帆。骨。まぶしさ。水しぶき。湯気。‥‥
「目指す」の項目には目指されがちなものが、「手間取る」の項目には手間取りがちなものが列挙されています。創作のヒントにも使えそうだという評価もある辞書で、なるほど納得です。
オノマトペを楽しむ 『日本語オノマトペ辞典』
著者:小野正弘(編)
初版:2007年
版元:小学館
収録項目数:47000
創作的表現では、情感や情景を豊かに表すために、オノマトペを駆使したいものです。ところが、普通の国語辞書がカバーしているオノマトペは、それほど多くはありません。『大辞林』のアプリ版で「擬声語・擬態語」カテゴリに含まれている語を数えるとおよそ400語といった程度ですが、本書ではなんとその10倍以上の4700語あまりが見出しになっています。古語や方言におけるオノマトペや、鳥の鳴き声の聞きなしなどもカバーしています。
文学作品などから引用した実例が豊富で、そのオノマトペの使われ方がよくわかります。また、「がんがん/じんじん/ずきずき/しくしく」のような似た意味のオノマトペの使い分けのコラムも充実。本文は五十音順ですが、巻頭に意味別の索引も付いており、「泣く」「多い」といった動作・性質などからオノマトペを探すこともできます。
また、読んで役に立つ補足的情報も多く、オノマトペについての多角的な知識を与えてくれます。
ぱんぱかぱん ①(音・さま)ファンファーレの音。また、晴れがましいさま。「ぼくは渋々岡山の県立高校を受験した末には、ぱんぱかぱーんと合格した」〈十七歳だった!・原田宗典〉‥‥
*①は、昭和三十年代、「漫画トリオ」がテレビで流行させたことで広まった。
ひーん(声)ウマがいななく声。‥‥
*ウマのいななく声を「ひーん」で表すのは意外に新しい。古くは「いん」のように表していた。これは日本語のハ行の音が古くは「ファフィフフェフォ」のような音であり、ウマの鋭くいななく声には不適切だったからである。
類書では『擬音語・擬態語辞典』も秀逸です。用例が豊富で、時には漫画のコマも引用しています。
まだあるよ
ユニークで便利な辞典はまだまだあります。以下は簡単に紹介します。
『当て字・当て読み漢字表現辞典』
普通の国語辞書にあるような伝統的な当て字から、即興の当て字・当て読みまで、幅広く採集。眺めているだけで楽しい辞書です。「〝不運(ハードラック)〟と〝踊(ダンス)〟っちまんたんだよ」もちゃんと載っています。
『岩波日本語使い方考え方辞典』
見出しになっているのは、「アクセント」「異体字」「差別語」「自動詞」「良い(「よい」と「いい」)」など、日本語そのものに関する事項です。これらについての「考え方」が包括的に示されており、「そもそもどういうことなのか」という原点に立ち返りたいとき手軽に参照できます。
『現代語古語類語辞典』
類語辞典の一種ですが、すごいのは、類語を、その使われた時代ごとに整理していることです。現代語から現代語を引く辞書でもあり、現代語から古語を引く辞書でもあるということです。歴史ものの創作や時代考証にも向いています。
『言葉に関する問答集 総集編』
「付属」か「附属」か、「甘み」か「甘味」か、布団を「敷く」か「引く」かといったような素朴な問いを600超も掲げ、丁寧な回答を付しています。以前、Twitterで「うけつけ」の送り仮名をめぐる不確かな情報が出回りましたが、本書なら正確なことがわかります。国語施策に従って文章を書く場合を想定しており、自由な表現を制約する性質のものではありませんが、たいへん参考になります。
『ことわざのタマゴ 当世コトワザ読本』
明治時代から2015年までに例のある「ことわざ」のうち、既存のことわざ辞典にないもの800余を立項。辞書にはないものの広く使われている成句を調べることができます。ことわざが日々新しく生まれていることも実感できます。
『コンサイスカタカナ語辞典』
カタカナ語の辞典としては一頭地を抜いているように思います。大きな国語辞書にもない語も豊富に立項されているのはもちろん、表記揺れも丁寧に拾っており、またその語がいつ日本語に借入されたかという情報も載っています。
『文章表現のための類語類句辞典』
他の類語辞典と違い、フレーズ単位での言い換えを提案しているのがすぐれた特徴です。採録語数は多くありませんが、単に似た意味のことばを並べただけの類語辞典に不足を感じるなら、引いてみる価値があります。さらに幅広い表現をものにできるはずです。
『表現類語辞典』
類語辞典は数多く刊行されていますが、とりわけ意味の分析が丁寧で説明が行き届いていると感じます。収録されているのは日常語が中心で、難しい言い換え表現を探すというより、既知の語の微妙な違いについて知るのに向いています。
『法令用語ハンドブック』
法令で用いられる用語を、実例とともに幅広く解説しています。法令用語の中には、見かけは日常語と同じでも厳密に意味が決まっていることばもあり、法令文の読解にはある程度知識が必要です。法令を読むことがあるならば、必携の一冊です。
『用法辞典』シリーズ
品詞別の「副詞」「形容詞」「感動詞」と、「擬音語擬態語」の4冊が刊行されています。国語辞書では説明しきれない、ニュアンスや微妙な使い分け方などを記述しています。各語が帯びるプラスマイナスのイメージを7段階で示したり、『現代感動詞用法辞典』では音調を楽譜のような「三線譜」で表したりと、独自の試みが光ります。
この記事が、みなさまのよりよい文筆ライフの一助になることを願っております。
なお、小型国語辞書選びについては、こちらを参考にしてください。