多事多端につき更新が遅くなってしまいました。アニメ『舟を編む』の第5話が放送されてから6日も経っています。こういうのは内容に凝るあまり本放送に後れを取ると更新が億劫になってしまうものです。今回は短くまとめたいと思います。
※以下、アニメ本編の画像はAmazonプライム・ビデオ『舟を編む』第5話「揺蕩う」*1をキャプチャしたものです。
学習辞書の改訂ペース
大暴れをして上層部に睨まれた辞書編集部が、『大渡海』の編纂を続ける条件として突きつけられたのが「去年改訂したばかり」だという『玄武学習国語辞典』(以下、『玄学』)の改訂でした。
辞書は刊行されたそばから改訂が始まるとはよく言いますが、出版社で具体的な改訂作業が行われるようになるまでにはさすがに少し時間が空きます。たとえば、『三省堂国語辞典』の第6版(2008年)が発売されてから、第7版に向けての編集会議が行われるまでには、3年間の「インターバル」があったそうです*2。
刊行からわずか1年で辞書の本格的な改訂に着手せねばならなくなるのは、辞書編集部の面々にとっても想定外のことだったでしょう。
とはいえ、学習用の国語辞書は、『三省堂国語辞典』のような一般向けの辞書*3に比べて改訂のペースが早いものが見受けられます。
たとえば小学館の小学生向け辞書『例解学習国語辞典』の各版の間隔は平均すると5年半、三省堂の中学生向け辞書『例解新国語辞典』は平均4年間隔、同じく三省堂の『例解小学国語辞典』にいたってはおよそ3年間隔*4で出ています。ところで、どれも名前が似ているのは何なのでしょう。嫌がらせでしょうか*5。
版を改めれば、買い替えの需要が生じます。学校や塾など一括でたくさんの学習辞書を買い揃えている組織に「それ、古い版ですよ! 今は新しいのが出ています」と売り込めば、ごっそり買ってくれることもあるでしょう。学習辞書の改訂ペースが早いのには、こういう事情もあるのではないかと思います。売れ行きがいいという『玄学』のすみやかな改訂は、経営戦略としては頷けるところがあります。
『大渡海』『玄学』の見本組
初めて『大渡海』の本文組が明らかになりました。西練馬氏のサイトに詳細な分析がありますので、解説は譲ります。
舟を編む#5:大渡海の見本刷りを再現する | Lexicography 101
『玄学』のゲラに見えるものは『三省堂国語辞典』とデザインから語釈までそっくり同じです。ということは、これは『玄学』のゲラではなく、特殊なルートから入手した『三省堂国語辞典』のゲラなのでしょう(?)。
タイアップ辞書
今週のタイアップ辞書は集英社の『集英社国語辞典』第3版(2012)でした。
まとめ
改訂がんばれ、西岡がんばれ。
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